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Vol. 9:オンライン教育の可能性、そしてJungle Classroom


伊東猛です。


いよいよ緊急事態宣言も解除され、普通の生活を取り戻す活動が始まりました。ただ今回の新型コロナウィルス感染症によるパンデミックにより、自宅での勤務をせざるを得ない状況になってしまったことで「オンラインを利用したツールで仕事が成り立つこともある」ということが分かり、今後の働き方に影響を与えていくことはおそらく間違いないかと思います。

子供の教育に関しても学校が休校となる中オンラインでの教材が続々と提供され、また学習アプリなどにも注目が集まりました。アメリカではロックダウン(都市封鎖)で学校での授業がすぐオンラインに切り替わり、9月からの新学年スタート時からはキャンパスでの対面授業とオンラインでのリモート授業を混ぜ合わせたハイブリッド授業を展開することを表明している大学が多く出てきています。このことから学習面でも今後今まで以上にオンラインを利用した新しい取り組みが始まるかもしれません。



オンライン教育の可能

数年前、私は「世界は一つの教室」という本に出会い、そこからオンラインでの教育・学習に凄く興味を持つようになりました。

「質の高い教育を、無料で、世界中のすべての人に提供する」という壮大なスローガンを掲げ、オンライン上での教育プラットフォームを展開するカーンアカデミーの創始者、サルマン・カーンが書いたその本には、

  • 従来の教育システムが抱えていた制約にはどういったことがあるか

  • またそれらをテクノロジーがどのように解き放つことができるか

ということなどが記されており、「子供たちがよりテニスに没頭することができる環境整備を行っていきたい」と考えていた私にとって、それを進めていくために必要となる大きなピースを作るヒントになると思ったからです。


カーン・アカデミー創業者のサルマン・カーン(Salman Khan)

すでにアメリカでは試験的にカーンアカデミーを使った教育プログラムを学校に導入し、学習がどのように進むからの実験も行われ、子供たちの学習意欲向上、学業成績向上に効果を発揮しているとも記されていました。以前、私のメルマガの「Vol.1 : 日本から多くの世界チャンピオンを生み出すための環境を整備していくこと」で書いた通り、子供たちにとってより良いテニスに取り組む環境を整備していく上で、将来テニスとは別のキャリアにも自信を持って進むことができるよう、学業面でのより良い環境整備も必要だと感じています。私には学業をせずにテニスに取り組むという発想はなく、あくまでもより効果のある学習を短時間で行う方法を模索することで、テニスに関わる時間を増やすという考えです。

通常、子どもたちは1日の大半である8時間もの時間を学校で過ごします。義務教育とされる小学1年生から中学3年生が終わるまでの9年間、そして高校での3年間を加えると12年間もです。そこに学校から出される宿題をする時間、睡眠時間などを加えていくと、子どもたちが興味のあることに時間を割けるのは1日のうち3時間程度。例えば「テニスで世界での活躍」を目指す際、競技の技術力アップに取り組む時間、その技術を支えるための身体づくりを行う時間、駆使した身体のメンテナンスのためのケアに使う時間等を考えると1日3時間は決して充分とは言い難く・・・。

もし多くの時間を過ごす学校での学習を、短時間でより効果的に力がつく学習法に置き換える術があれば、余った時間をテニスに割くことができ、様々な取り組みに時間を使うことが可能となってきます。今のところ私が考える理想は1日2〜3時間の学習、そして6〜7時間をテニスもしくはテニスに関わることに使うというスケジューリングですが、オンライン学習であれば実現できる可能性があるはずです。



Jungle Classroom 構想

以前から私が考えている「日本から多くの世界チャンピオンを生み出すための環境を整備していくこと」について、アメリカの高校で一緒だった20年来の友人とよく話をしてきました。もっと効果的にテニスや学習をする方法はないかということで意見を交わし、色々とアイデアを投げ合っている中でオンラインでの学習プラットフォーム「Jungle Classroom構想」にたどり着き、それを2人のプロジェクトとしてスタートさせてみようということになりました。

このプロジェクトをスタートさせるにあたりカーンアカデミーをそのまま利用するという方法も考えたのですが、基本授業は英語となっており導入のハードルがかなり高い。数学に関しては日本語での授業も今では用意されてきていますが、カリキュラムの見せ方に馴染みがなく、私たちがそれを導入するのに少し不安も感じました。

そこで私たちが価値を置きたいと考える学習カリキュラムを既存の様々なアプリやプログラムを組み合わせて作ってみようということになり、まずはどのようなポリシーで進めるかの摺り合わせを行い、その後使用するアプリやプログラムの選定に入りました。

ポリシー

  • 「時間の有効活用」、そして「興味があることを進んで学習していく」という場を提供し、「自主性」、「思考力」、「合理性」、そして何より「子どもたちの熱中」を育み、自立し自律する人材育成を実現する。

  • 時間ベースでの学習ではなく課題達成ベースでの学習:時間割というような従来の仕組みに基づいて行動するのではなく、課題に基づいて学習を行っていく。

  • 何故を大切にしどのように学習するのかを学習できる機会を用意するよう務める。

ターゲット

  • アメリカの大学進学を視野に入れ、数学、英語に重点をおく。


主に使用する学習アプリ / プログラム

数学

  • 数学検定アプリ:実用数学技能検定のトレーニングアプリで、そのまま小学生・中学生の算数・数学の学習に利用できます。

  • カーンアカデミー:オンライン学習のパイオニア。日本語での教材はまだ数が少ないですが、有効な学習教材であることは間違いありません。

英語

  • Duolingo:デュオリンゴは大学等の教育機関から非常の高い評価を得ている言語教育プラットフォームで、これを英語の学習に用います。デュオリンゴはデュオリンゴテストセンターと呼ばれる試験を公開しており、すでに米国の多くの大学でTOEFLに代わる受験資格としての採用されています。


Jungle Classroom共同責任者:蒲生英紀


実際に運営を開始して

丁度学校が休校になったタイミングに合わせ、試験的に新5年生の息子にこのプログラムで学習してもらうことにしました。iPadを用意し必要な学習アプリをインストール、私の友人が管理者となりコミュニケーションを直接息子と取ることができ、それを私もモニターできるよう「革命的チャットツール」と呼ばれているSlackも導入しました。まずはこのプログラムをスタートさせる前から取り組んでいたDuolingo、そして新しく数学検定アプリをそれぞれ3レッスンずつ行うことを日課とし、課題完了後にはSlackで報告ということからスタートしました。私も仕事がストップしていたので、特に数学検定アプリに取り組むときには横に座り、わからないところをアドバイスする(とは言え、主に「なんでそれが理解できへんねん!」「さっきもそれやったやん!」と怒ることが多く、息子にとっては悪夢のような時間だったと思いますが)という形で進めていきました。英語アプリのDuolingoに関しては、間違えたところを繰り返し復習できる仕組みとなっているので自然と理解は深まるように感じますが、数学検定アプリに関しては、理解が深まるまで繰り返し練習問題をさせるために別の方法の必要性を感じています。


実際に運用を開始しメリットと感じる点は、アプリを使っての学習が習慣化し、また地理アプリを使って国旗を覚えたり、プログラミングのアプリを試してみたりと多角性が出てきているように感じること。また分からないことはWikipediaやGoogleで自ら検索する癖がつきつつあること、Slackを使いこなし始めておりタイピングが上達していることも、このプログラムを開始したことによる副産物と言えると思います。


Duolingoの学習に取り組む息子。1日3レッスンの積み上げで英語の理解度が随分と向上してきました

今後の展望

グローバル化や情報関連技術の進歩が急速に進む中においても、子どもたちが「生き抜く力」を育み成長していくことの重要性は不変であると考えています。競争が激化すると予想されるこれからの社会において、子どもたちは日常生活の中で、自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、自ら判断して行動するという習慣を身につけることで、これから生き抜いていくために必要な資質・能力を育んでいく必要があると感じます。Jungle Classroom はこの課題に対し、子どもの興味と楽しみという観点から学習カリキュラムを構築し、子どもが積極的に学ぶことを実現するとともに、一つのベンチマークとしてアメリカ大学進学を視野に入れたプログラムを提供していきたいと考えています。そして最終的には、このプログラムを通じ、子どもたちが人間力を高め、将来のキャリア選択肢を増やすことに繋げていければと思っています。


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