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プロ転向か?大学進学か?

伊東猛です。

プロ転向か?大学進学か?

Facebookを見ていると、高校3年生選手のプロ転向の話が投稿されていました。「プロになるのが目標/夢」だったとのことで、プロとなりこれから頑張っていくという内容でありました。私もジュニア時代の目標が「世界で活躍するプロになること」であり、実際に高校卒業が迫った際、父親に「プロとして活動したい」と話をした事がありました。が、私の場合は父からの「その活動をするお金ってどこから調達するの?」という一言で、「あっ、アメリカの大学に進学します」と回答し、高校卒業後の進路を決めたのを鮮明に覚えています。この時、心の中で「お父さんにお願いしたら遠征費用等をサポートしてくれるだろう」と甘い考えがあったのは確かで、実際に遠征費にどれくらいかかるをしっかりとリサーチして相談したわけでもなく、実力的にもプロになりインパクトを残せる可能性を見せていたわけではないので父の反応は当然な訳であり、またそのように言ってくれた父に感謝しかありません。タラレバの話ですが、もし父が「プロになるならサポートしてあげるから、しっかりがんばれ!」と応援してくれていたら私は現在どうなっていたか。。。おそらく、テニス選手のキャリアとして自分が残した

  • 全日本選手権シングルス ベスト8

  • テニス日本リーグ MVP

  • ATP シングルス 789位

という結果すら残す事ができず、英語は中途半端、アメリカの大学の4年半で学んだ事や築いたネットワークもなく、テニス選手としてのキャリアが終わった後に就いたアパレル関連の仕事、また凄く仕事をしていく上で自信をつけるきっかけとなった外資系フォワーダー(物流業)の営業の仕事などもする事なかったのではないかと思います。


アメリカの大学での4年半では、本当に多くのことを学ぶことができました。今回のメルマガでは具体的にどういったことでアメリカの大学生活が充実したものだったかを書こうと思います。


アメリカの大学テニスに関しては以前、1年から4年までの細かな出来事を「学生時代回想録」で書きましたが、まず施設等の環境面でテニスに没頭できる環境が揃うのがアメリカの大学。私の在籍した University of New Mexico のテニス施設はアウトドアコート7面、冷暖房完備のインドアコート6面が男女合わせて20人ほどのチームのために用意されています。朝7時ごろから夕方8時ごろまで、コートを使いたいと思えばいつでも使える環境にありますし、練習するのに必要なボールも潤沢に用意されているので、相手がいなければ一人でサーブを何カゴでも打てますし、オンコートでのトレーニングも好きなだけ行うことができます。クラブハウスには各選手専用ロッカーがある更衣室があり、そこでシャワーも浴びることができるので、朝練を行った後にシャワーを浴びてすっきりした状態で授業を受けることもできます(今、私が監督をしている大学にはキレイなシャワールームがなく、選手たちは練習後に着替えだけして授業を受けているので少しかわいそう。。。)。フカフカのバスタオルもクラブが用意してくれているので使い放題。同じ敷地内に巨大なトレーニングジム、フットボールスタジアム(観客スタンドの階段を上り下りするトレーニングで使用)、陸上トラック(400mを4本、200mを7本ダッシュというトレーニングを良くしていましたが、毎回このランニングの後はトラックの片隅で吐いていたので、今でも思い返すだけで気分が悪いです)、芝生のフットボール練習グラウンドなどもあり、みっちりトレーニングが出来る環境が整っています。そしてこれらの施設全てが無料で使えます。


チームでの練習は平日2時間半+フィジカル・トレーニングが1時間程。短時間で中身の濃い練習をすることを心掛けてコーチたちは練習をプログラムします。週末は団体戦が行われる春学期(1月から5月末)は毎週末のように試合がありますが、試合がない時は基本オフとなっており、選手は常にフレッシュな状態で練習に取り組めるような仕組みです。また怪我をした際の手当て、リハビリ等を行う施設も併設されており、世界のトッププロ選手が受けるような待遇を学生でありながら受けることができます。


私がコーチをしているジュニアチーム・エリートチームの卒業生でこの8月からアメリカの大学に進学した井上眞は、渡米前に股関節を痛め、現地での診断の結果2ヶ月間テニスをしてはダメということになり、2ヶ月間ずっとリハビリをしていたとのこと。こういった怪我の場合もしっかりとサポートがあるので、選手は安心してプレーに戻る準備を進めることができます。


練習相手はどのようなチームに進学するかによって変わりますが、私の大学には元スペインのジュニアトップ選手、元スイスのジュニアトップ選手、南アフリカのジュニアトップ選手、ユニバーシアード(大学生のオリンピック)の銅メダリストなど強い選手が多かったので、練習相手にも恵まれていたと感じます。


アメリカの大学テニスのレベルですが、特に Division 1 は世界中から各国のトップジュニアや ITF ジュニアのトップ選手など集まるので、相当高いです。全米学生選手権は、ATP のチャレンジャー・レベル(DjokovicなどがプレーしているATP ツアー・レベルの一つ下のレベル)はあると言われておりますが、全米学生選手権2回戦敗退の選手が半年後にグランドスラムでトップ10選手を破ったり、学生時代に地域予選を勝ち上がれなかった選手がその数年後にジャパンオープンのシングルス優勝、そしてウィンブルドンでダブルスに優勝するなど、多くの化け物が凌ぎを削っています。


Wesley Moodie : 写真右。大学時代はほぼ無名でありながら卒業後にプロ転向し、ジャパンオープンのシングルス、ウインブルドンのダブルスに優勝。学生時代は同じ地域の大学でプレーしていたので、会場ではよく話をした

ただ、Division 1 には200校以上のチームがあると言われており、私の書きようだと「レベルが高すぎて目指すのは無理」と思う場合もあるかも知れませんが、決してそんなこともなく、例えば大阪で30位くらいの選手でも Division 1 の学校へ入学できる可能性もありますし、またそれが叶わないとしても Division 2、NAIA (National Association of Intercollegiate Athletics 全米大学体育協会) に所属する大学に進学し、そこでしっかりテニスと学業に打ち込むことも出来ます。


また大学が ITF の大会(プロの国際大会)を開催している場合があったり、大学のチームとして ITF 大会への遠征を行う場合もあり、大学の費用でプロの大会に挑戦することも用意されている大学も存在します。また自己負担にはなりますが、3ヶ月の夏休みを使って ITF の大会に出場し世界ランキング取得を目指すこともできます。世界のトップジュニアがアメリカの大学に進学する理由は、プロとしていきなり活躍できなかった場合のリスクを軽減するためであり、また、自己負担ではなく大学負担でプロの大会へ挑戦し、プロでやっていけそうか様子を伺うためでもあります。なので、学生でありながらプロの試合に参戦し、プロとして活躍できると判断した選手は大学を1年もしくは2年で中退 / 休学し、プロの世界へ飛び込んでいく場合も多々あります。

私はアメリカの大学での4年半の間で、テニスの練習・フィジカルトレーニングを十分に取り組むことが出来たおかげで大きく成長できたと感じています。またチームでのいろいろな場所への遠征を通じ、知見を広げることも出来たと感じます。学業もしっかり取り組まないとスカラシップが切られてしまうという仕組みになっていますので学業にもしっかり取り組みますし、それなりに多くを学べたのだと思います。そして何よりもタイムマネージメントなど規律を持って行動することが身についたと思います。


テニス選手として大成したかったと思っていますが、アメリカで高校・大学の7年半を過ごした中で出会った人々の生き方を見て感じたことや向こうで暮らす中で身についた価値観から、プロ選手としての活動を3年で終わりにし、テニスとは違う世界で挑戦してみようと思い、特に外資系フォワーダーの営業として3年間働き、地域新規開拓営業として社内日本一、そしてアジアでもトップ15になれたことが何よりも大きな自信となりました。テニスで身につけたことを使い、他業種で仕事をした経験は私にとってとても貴重な経験となっています。


アメリカの大学にはジュニアからプロになる間の移行期間での成長に必要なテニス面での環境、また合わせて学業やいろいろな文化・価値観に触れる事が出来る環境があり、高校卒業時にすでにプロの世界で勝ち始めていないのであれば、選択すべき進路だと思っています。ランキングがない中でプロ選手として活動するために必要なスポンサーを見つけるのは大変ですし、プロで戦うために必要なプレーやフィジカルを身に付けながら学業にもしっかり取り組み、テニス選手として活動した後に社会人として仕事をしっかりやっていくために必要な能力を身につける。人として成長する機会を、しかもそれをスカラシップを獲得してお金をほとんどかける事なく持たせてもらう事ができる最高の道です。

アメリカの大学を目指すためには、出来るだけ早くから英語の勉強に取り組む事。また、中学3年生から高校3年生までの評定平均をある程度高く保つ必要があるので、テニスに割く時間を考えると、高校の進路をどうするかも重要になってくると思います。今後、アメリカ大学進学に関する説明会も実施していく予定ですので、是非またご参加ください。

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